Over The Rainbow



『ほら、虹だよ!』
早朝、私たちが乗ったボートが、濃い霧の中を走っているときのこと…。
凍えるような寒さの中、肌を切るような風から身を守るため、
腕を組み、うつむいて、身体を硬くこわばらせていたときだった。

そこは、アンカレッジから水上飛行機で小一時間ぐらいのところにあるロッジから、
ボートで30分ぐらい、川をさかのぼったところ。
ロッジには、電気もガスも来ていない。
もちろん道路は無く、移動手段は水上飛行機とボートだけ。
日本からは、限りなく遠いところ(距離のことではなく…)に思えるところだった。

ガイドが指さす方を見ると、ボートの前方の手が届きそうなところに虹が…。
ちょうど、私たちの乗った小さなボートがその虹をくぐれるくらいの大きさ。
ガイドも、こんな事は初めてだ…というようなことを言っていた。

Somewhere, over the rainbow〜♪
思わず、口をついて出たのがこの歌だった。

濃い霧に虹を作り出した暖かな太陽の光は、濃い霧もどんどん晴らしていき、
しばらくすると、虹も霧もすっかり消えてしまった。
後に残ったのは、澄み切った秋の空と、すがすがしい気持ち。

小さな事かもしれないけれど、旅を彩る思い出のひとつとして、
私の心の奥深くに、忘れられることなく、刻み込まれている。



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